水滸伝に関する読書

北方『楊令伝』要約と分析(巻2下)

225ページ~ 青蓮寺の李富と李師師が、方臘の領地を見物にいく。方臘は、後漢末の黄巾の乱・五斗米道に似ているというのが、青蓮寺の分析。宗教は、軍という組織をもっていない。手強いのは梁山泊のほうだと。 徽宗の花石綱には困ったものだなーとも、李富ら…

北方『楊令伝』要約と分析(巻2上)

15ページ~ 楊令「酒を飲もう」燕青「これ、水じゃん。ウソつくなよ。実物が水でも、それを酒だとでも思わなければ、幻王の殺戮稼業なんて、やってられんのだろうね」楊令「本当は野望でも、それを志だと思いこむのと同じっす」 という禅問答から始まる。楊…

北方『楊令伝』要約と分析(巻1下)

236ページ~ 王定六は、なき秦明の妻子(公淑と秦容)を、面倒をみながら送り届けている。公淑は、子供が死んで発狂したところ、宋江に惚れられ、おさない楊令の面倒をみて、秦明に惚れられて……という、北方大水滸の重要なオリジナルキャラ。移動の果てに、…

北方『楊令伝』要約と分析(巻1上)

どの巻も、だいたい390ページなので、200ページまでを「上」、それ以降を「下」と便宜的に分けて、要約と分析をします。 長すぎて、『楊令伝』を読んでいない、というひとが、たまたまこのブログにたどりつき、この記事を見たとしても、読んだ気になれ…

『楊令伝』第9巻の前半まで読了

楊令が童貫を斬りました。 先週の土曜の昼に『北方水滸伝』を読み終わり、『楊令伝』に移行。さきほど、9巻の途中(童貫の死)まで読み終わりました。 北方氏は、『水滸伝』・『楊令伝』・『岳飛伝』という三部作をもって、「大水滸」というシリーズとされ…

北方水滸伝 全19巻を読了

やっと読みました。『北方水滸伝』。 8巻の途中までは読んでましたが、祝家荘の戦いのあたりで、やや飽きがきて、放置しておりました。再開したら早いもので、1日に1冊以上のペースで読み進め、再開してから1週間とかからずに19巻まで読み終わりました…

標注訓訳水滸傳

国会図書館の近代デジタルライブラリーで見られます 平岡龍城の『標注訓訳水滸伝』近世漢文学会 近代デジタルライブラリー - 水滸伝 : 標註訓訳. 1 京大図書館のサイトのほうが、色が明るくて見やすいかも [ 谷村 ] 標註訓訳水滸伝

祝家荘と曽頭市、晁蓋の取り扱い

佐竹靖彦『梁山泊』71ページより。 『水滸戯』において晁蓋は、祝家荘で3戦して死ぬ。ただし、祝家荘の戦いが、描写されているのではなく、説明のなかに、ちらっと出てくるだけ。 『水滸戯』は、すべてが個人プレイのエピソードであり、ただひとつ集団戦っ…

喜劇的悲劇の主人公 くろちび三郎

佐竹靖彦『梁山泊』を読んでます。 宋江は、『水滸伝』では得体の知れない、魅力に乏しい人物となっている。 しかし、『水滸戯』で登場のたびに自己紹介する宋江は、閻婆惜を殺して、灯火を蹴り倒して家事を起こし、徙刑にあったというだけの人物。これが宋…

武松の分裂病(悲華水滸伝)

武松のキャラ分裂は、『水滸伝』が抱える、やっかいな病気ですが。 杉本苑子『悲華水滸伝』は、武松を病気にすることで、これを解決します。 武松は、瘧〈おこり〉をもち、寒気や震えが止まらない。潘金蓮から言い寄られて、立ち去るべきときに、おこりにな…

吉岡平『水滸伝_伏龍たちの凱歌』

読みました。 4つの話から構成されてます。 ◆第1話 彫師 『水滸伝』に登場するまでの史進の話。 史進は、母から「私の死ぬまでは、刺青はやめてね」と言われていたが、その母が死ぬ。これ幸いと、史進は刺青をしたい。打虎将の李忠に紹介されて、東京府の…

梁山泊の初代_王倫は「実在」

宮崎市定によれば、『水滸伝』で、梁山泊の初代首領だった王倫は、史書にみえる人物。京東路に属する虎翼軍という警察を主とする部隊の軍卒。仁宗の1043年、長官を殺害して、年号をたて、官名をあらため、数州を荒らした。 淮南路の高郵軍にせまったとき、知…

杉本苑子『悲華水滸伝』

杉本苑子『悲華水滸伝』を読んでます。吉川英治の弟子だという、どこかのネットの記事を見て、興味を持ちました。 いちばんの驚きは、始まりが、林冲と柴進の出会いであること。 原典では、第9回にあたる。 それ以前の、たとえば洪信が伏魔之殿をあけるのは…