登場人物のキャラ設定

武松の分裂病(悲華水滸伝)

武松のキャラ分裂は、『水滸伝』が抱える、やっかいな病気ですが。 杉本苑子『悲華水滸伝』は、武松を病気にすることで、これを解決します。 武松は、瘧〈おこり〉をもち、寒気や震えが止まらない。潘金蓮から言い寄られて、立ち去るべきときに、おこりにな…

武十回に追加したい2人のキャラ

武十回は、武松のキャラが分裂しているといわれる。 柴田錬三郎の『水滸伝』で、武十回に相当するところを読んだ。 シバレンと原典とをちゃんと比較してないので、あくまで「シバレンを読んだあとの思いつき」として、タイトルのことを書いておきたい。 いま…

「二人の宋江」を融合させる

宮崎市定『水滸伝』の第二章は、「二人の宋江」。 『水滸伝』の宋江は、史料に出所をもつ人物である。盗賊の首領として名前が出てくるし、方臘を討伐した将軍としても名前が出てくる。だから、フィクションである『水滸伝』のなかでも、盗賊から将軍へと変化…

柴進と「二王の後」

宮崎市定『水滸伝・虚構のなかの史実』によれば、柴進が、周の天子の末裔というのは、『水滸伝』の編者がいいだしたことで、「宋江三十六人」、『宣和遺事』には、そういう記述がないと。もともと、名簿に連なっていた柴進が、「柴」姓であることから、連想…

公孫勝はなぜ非協力的か

◆『水滸伝』編者が便利に使う公孫勝 宮崎市定『水滸伝』によると、公孫勝の物語の成立はおそくて、『水滸伝』がまとめられるときに、『水滸伝』の編者によって加えられたと推測される。 遼を滅ぼすという、荒唐無稽だけど、民族的な自尊心をくすぐる話は、公…

武松のキャラ分裂を解決したい

『水滸伝』を、「現代小説」として鑑賞する場合に、ひとりの登場人物のキャラクターに一貫性がないことが、難点とされることがある。 とくにキャラが分裂しているのが、武松だと思う。 ぼくとしては、現行の『水滸伝』に、それほど改変を加えなくても、ひと…