51~57回、小衙内殺し、呼延灼の戦い

第51回 関羽徐晃の出奔

話は変わって(話を載せる順序は要検討)河東郡では、雷横=徐晃が女芸人とトラブルを起こして、女芸人を殺してしまう。同僚の関羽が身柄を預かった。徐晃の行動に(なんやかんやで)義を見出した関羽は、長官には無断で、徐晃を逃がしてしまう。

関羽「国家のことよりも、ひとりの好漢としての行動原理を優先するぜ」と。徐晃「わたしも国家のことよりも、ひとりの好漢として、かならず関羽さんに返報するだろう」という。これが関羽の晩年の戦いの台詞の伏線。


時系列はともかく、そういう関羽のオトコぶりに、かってに惚れたのが、劉備である。劉備は、関羽を口説きにゆくが、断られる。関羽は、上官の息子を預かっていた。張飛は、関羽の上官の息子を殺して、関羽河東郡に務められないようにする。
決めぜりふは、「しょうがない」と。

水滸伝』51回、李逵が、朱仝があずかっている子供を殺す。殺された子供は、小衙内(しょうがない)という。

第52回の冒頭まで、関羽(朱仝)の動向が書かれるが、けっきょくは劉備宋江)の一味になりましたと。駒田訳189ページにも続報がある。

関羽をモデルにした人物が『水滸伝』に多いなかで、朱仝を選んだ理由は、①登場が早い、②小衙内殺しがある、です。とくに小衙内は、おもしろくなりそう。

 

第52回 劉虞の受難、高廉との戦い

時期はさておき。劉虞(柴進)は、宦官の縁者(高俅の従弟の高廉、その妻の弟の殷天錫)に、あらぬ疑いをかけられて、取り調べを受ける。

きっと幽州の統治が安定しているから、もっと金銭を吐き出させようとして、宦官が巡察の使者を出したのだろう。幽州は、後漢のルールよりも、劉虞の判断を頼りにしており、なかば独立国のような様相。幽州から上がる、ワイロの収入が少ないので、宦官がムカついたのだ。
高廉・殷天錫を誰にするのかは、史料を見て決める。

袁紹劉備は、劉虞の救出にいく。

水滸伝』52回では、李逵メッセンジャーになる。李逵張飛を、単純に使いまわすことができない(原典でも脈絡がなく、かなり不自然)。劉虞が、袁紹もしくは劉備、もしくは両方とどういう接点をもっているかは、きちんと話をつくる。

劉虞を監禁した高廉は、魔法をつかう。

第53回、孫乾(戴宗)が、張飛李逵)を連れて、公孫勝張魯)を探しにゆく。張飛は、孫乾に言いつけを守らずに、足の魔法に困らされる。

ぼくは思う。公孫勝の探索は、ずっと前からやっている。探索の名目で、戴宗がウロウロして、梁山泊に帰するべき人物をかき集めている。
のちに劉備に属する人々(というか劉備)の行動原理と、目標を明らかにしておかないと。『水滸伝』は晁蓋宋江をセットにするが、ぼくはつかず離れずとするので、詳しい設定がほしい。

孫乾張飛は、二仙山で、張魯を見つける。張飛は、下山を断った張魯の師を殺したつもりが、死んでない。

張魯に修行をつけているのは、死んだはずの張魯の相の張陵でも可。仙人は平凡な意味では死なないから。もしくは、梁冀を手玉にとった、南華老仙(荘子のばけもの)にしようか。『水滸伝』では羅真人。

公孫勝がもどって、魔法をやぶって、劉虞を救出する。

この魔法の話は、184年の黄巾に置いてもよいかも。幽州にも黄巾が攻めこみ、劉虞が危機に陥った。劉虞を救うために、(そのとき、空いている誰かが)張魯のことを思い出して、引っ張りだしにゆく。もしくは、危機に陥るのが、劉虞である必要もない。
公孫勝は、「私が学んだ道術は、高廉と同じもの。ただし私のほうが正統だから強い」という。張角vs張魯の直接対決が見たい。
柴進の受難を、劉虞の受難とする必然性が薄れると……
治外法権の地としての劉虞を、もっと生かすストーリーを考えねば。『水滸伝』でも、柴進はあまり活躍の場がない。『北方水滸伝』では、かき集めた物品に執着するケチな凡人で、毒殺されてコロッと死んでしまう。もっと活躍してほしい。

第54回、張魯が魔術をやぶり、劉虞が助け出される。

第55~57回 呼延灼=檀石槐との戦い

第55回、鮮卑が国境を侵して侵入した。

水滸伝』の呼延灼の戦いは、連環馬とか大砲とか、あやしげな装置をくり出してくる部隊との戦い。これに対抗できる人材を集めて破るという。この時点で、袁紹らが官軍と戦うと史実から逸脱する。

檀石槐ひきいる最強の鮮卑の騎馬隊が、幽州に侵入してきた。劉虞は、公孫瓚をつかって撃破する。

檀石槐は、光和期(178年 - 184年)に死ぬ。つまり、劉虞・公孫瓚が、みごとに檀石槐を破って殺してスカッとしても、史実とは矛盾しない。
呼延灼は檀石槐。呼延灼の副将にあたる、韓滔・彭玘は、鮮卑の将軍とする。彼らが仲間にならなくても、ストーリーに支障なし。
凌振という砲撃手は、射程距離が長くて、命中精度も良い、投石機のようなもの。これも鮮卑の技術者である。
鮮卑はこの時期、空前の大帝国を築いている。それくらいの装備があっても、おかしくない。これを鮮卑が躍進した理由にしよう。


第56回、劉虞は、戦さ上手をスカウトする。

徐寧=魏攸かな。
Wikipediaによれば、魏攸は、異民族との交友を深めるため、劉虞に異民族へ金品を贈るよう進言し、実行させた。劉虞の人望を妬んでいた公孫瓚により、金品を奪われた。魏攸は「公孫瓚の文武は頼りになる。悪事には目を瞑るべき」と諫言したと。
たびたびWikipediaを見てますが、本作に取りかかる前に、史料には目を通す予定です。いろいろネタが見つかることが多いので。
水滸伝』で徐寧は、お宝の鎧を盗まれて、梁山泊に入る。金品を奪う・奪われる系の話が、魏攸の周辺にある。徐寧=魏攸で。
ただし魏攸が立てるのは、連環馬を撃破したのち(『水滸伝』なみ)、異民族を懐柔するという政策を取るだろう(『後漢書』なみ)
水滸伝』鍛冶屋の湯隆は、徐寧を呼びこむための媒介。「徐寧=魏攸という優れた人物がいましてね」と案内する人物を設定して、適当に消化しよう。劉虞伝よめ。


第57回、徐寧=魏攸のスカウトに成功した劉虞は、呼延灼=檀石槐をやぶる。檀石槐と戦うにあたり、打虎将の李忠=関靖が、公孫瓚にまつわる人物を引き連れて合流する(駒田訳254ページ)。

ぼくが余所に移動させてしまった人物は、ここに出すことができない。『水滸伝』では、魯智深韓当楊志馬超、施恩=祖茂、武松=程普らが合流する。ぼくがキャラを割り振っていない、孔明・孔亮もまだである。諸葛亮の父・諸葛珪に統合してしまうか。諸葛瑾ですら174年生まれだから、諸葛亮は出せない。
なお、若き趙雲は、きっと公孫瓚の下にいる。

つぎは、晁蓋の死と、盧俊義の登場を裁かねばなりません。150506