68~81回、梁山泊の完成、官軍戦

第68~71回 袁術が代行し、集団が完成

第68回、袁紹の「死」に報復しなければならない。

袁紹袁術とは独立した、後漢を改革しようとする勢力との対決をさせたい。袁紹の価値観を揺さぶり、袁術を逃げ腰にするような。
もともと『水滸戯』では、晁蓋は祝家荘に殺された。しかし『水滸伝』では、祝家荘には勝ってしまったため、晁蓋が死に場を失った。晁蓋を殺すため、曽頭市をひねりだして、史文恭をひねりだした。つまり、曽頭市を敢えて別に設定しなくてもよい。
袁紹の価値観をぶっ壊すのは、董卓さんにやってもらうか!
袁紹さんは、地下集団のなかで「死」を迎えて、188年に設置の西園八校尉に行ってしまいました。

まず董卓に突っかかるのは、史実では孫堅。185年、張温に従ってともに出陣して、董卓の態度をみて、危惧を懐く。
時遷=賈詡が、史文恭(董卓)が、「袁紹袁術なんて、口ほどにもない」と豪語していたのを聞いてくる(駒田訳383ページ)。

水滸伝』時遷は、単純に諜報をやっているだけだが、本作の賈詡さんは、絶対に煽って楽しんでいるなあw

袁紹は傷心のため、董卓と張りあうのを辞めている。しかし、何顒・荀彧を中心にして、つくってきた人的なネットワーク(=梁山泊)のことを貶されて、黙っているわけにはいかない。

董卓は、関勝であると同時に、史文恭でもある。

新たに迎えられた袁術は、政治力をつかって、董卓の力を削ぐ。すなわち、涼州軍を剥がして、并州刺史とする。

水滸伝』68回では、盧俊義が史文恭を捕らえる。これを本作では、盧俊義=袁術が、董卓=史文恭から、兵権を奪うものと読み換える。188年、董卓は前将軍になって、中央に帰ってこいと命じられる。


第69回、袁紹集団は、優れた官歴をもつ袁術をトップに頂くのか、ながく袁紹とともに戦ってきた無名の劉備をトップに頂くのか、モメることになる。
袁術は、初めは「官僚として出世したいから、地下集団になんて行かない」と抵抗したくせに、野心を持ってトップになりたがる。何顒・荀彧は、そんな袁術を疎ましく思うから、無害・無能・無力の劉備をトップにおいて、好きなようにやりたいと考えている。劉氏なんて飾りです。

水滸伝』でも空気みたいなので忘れていますが、阮氏の三兄弟(本作では、劉焉と子供たち)も、この争いの渦中にいます。この阮氏こと劉焉は、州牧の設置を作中で主張して、公孫勝こと張魯と、仲よく益州に割拠し、こっそり涼州の情勢にも手を突っこみます。ぼくは忘れてないです。

袁術劉備は、ふたりの賢人を説得して、さきに味方にできたほうをトップにすることにする。劉備は、三顧の礼をあみだす。

水滸伝』69回では、東平府・董昌府を陥落させる競争をする。それぞれ、天才肌の董平・つぶての張清がいる。このふたりとは、三国志においては、誰だろう。書きながら考えている。まじ、ノーアイディア。うーん。。

袁術は、鄭玄のところに行って失敗しろ。

袁隗・董卓袁紹が招いて失敗する。董平=鄭玄。董平が立てている旗の「風流双槍将」とは、武芸だけではなく、礼教・学問・管弦にも通じていたことに由来するらしいので。

劉備は、……

鄭玄に匹敵する、やっかいな口説き相手が思いつかなかったので、仕切り直して、ふたりには戦さを競ってもらうことにします。馬融の門下としては、盧植がいるが、すでに人脈のなかに含まれており、フェアではない。
劉備には、揚州まで出かけて、蔡邕さんを口説いてもらおう。そして、どちらも失敗するという。ちなみに蔡邕は、董卓には招かれる。董卓のほうが、賢者を招く力量において勝っていたということで。

劉備は、蔡邕をくどきにいくが、やはり失敗する。

第69回で双槍将(董平にあたる)、第70回で没羽箭(張清にあたる)を味方にしなければならない。彼らの加入をもって、袁紹集団(梁山泊)が完成する。

董平と張清は宿題とする。
劉表陶謙のように、主要な群雄で、董卓と戦う人々を懐きこむための話にしてもいい。袁術劉表のところに行き、ギクシャクする。劉備陶謙のもとに行き、シックリくる。これがのちの世の伏線だと。風流を解する董平は劉表、どこから攻撃してくるか分からない怪しげな張清は陶謙
ただし、張清と瓊英のラブロマンスは、陶謙では務められない。キャラとエピソードの組み替えが必要かも。

第71回、神秘的な演出をもって、袁紹集団の序列が確定する。

108人が揃うことはない。どういう形か分からないけど、今後、三国鼎立の時代になるよ、という予感を伴いつつ、ミラクルな感じにしたい。考え中。

ただし、宋江劉備をトップに立てたものの、実体は骨ヌキであり、こんな集団では何も実現できないなーという倦怠感がある。招安を受けちゃおうかなーという、座りの悪さ。『水滸伝』でも、招安か独立か、と揺れ始めるところ。

後漢との付き合い方について、さっそく見解が分かれる。第71回、駒田訳424ページ。

水滸伝』では、武松・李逵魯智深が、「招安なんて、くそつまらん」といって、宋江に叛こうとする。そういう分裂が、きちんと起こればいいと思うのです。

 

第72~74回、官軍戦の前の休憩

第72回、戦いも束の間、劉虞(柴進)・曹操(燕青)は、洛陽にきた。劉備宋江)・張飛李逵)も同行したが、お上りさんである。
劉虞は、宮殿に入りこみ、地図に落書きをした。

駒田訳430ページ。何をどう落書きするのか、象徴的な場面だけに、きちんと考えたい。

霊帝徽宗)のお気に入りの卞氏(李師師)と、燕青は出会った。卞氏を仲介にして、霊帝に接近しようとしたが(宦官の誅殺を具申しようとした?)、張飛が暴れてしまって失敗する。
卞氏を仲介した、霊帝との面会の場は、第81回・82回と重ねられて、ついに成功する。

水滸伝』では、宋江を招安することを、おもな交渉の材料とする。しかし本作では、わざわざ霊帝に近づいて、何をしようというのか。考えないと。曹操は、すでに上言できる立場にあるのだ。「宦官がいない場所で、密奏する」を欲しているとしても、何を密奏したいのか。
劉焉による州牧の設置も、アイディアとしては、あり。王芬・許攸による廃立が、このとき行われる。これに絡めるとかもあり。


第73回、張飛曹操の珍道中。マオトコを「鬼」といって殺す。にせ宋江を懲らしめる。
第74回、曹操が相撲をやって、連年のチャンピオン(許褚にしよう)を破る。曹操と許褚は、顔見知りになる。もしくは、許褚の防塁のそばを通り、張飛が調発したので、許褚が出てくる。曹操張飛を押し退け、無敗の許褚を破る。
張飛が、裁判ごっこをやる。

水滸伝』の原典が、息抜きである。べつに、188年や189年の緊迫した時期にやる必要がない。むしろ、184年に黄巾が起こるより前に、このエピソードを消化すべきだ。

 

第75~81回 官軍との戦い

第75回、官軍の使者がきたので、船を沈めて、酒を盗み飲み、辱める。

痛快な場面ではあるが、袁術劉備がやるとおかしくなる。涼州の割拠勢力に、これをやらせよう。

韓遂馬騰は、後漢の使者をあざけって返す。詔の文言が不遜だったから。

宦官の童貫の軍と、正面から衝突する。
これは189年、霊帝の死後、洛陽で浮いてしまった西園八校尉の兵権をめぐる、宦官の蹇碩と、袁紹との戦い。この市街戦から、宦官の皆殺し(ハッピーエンド)に向かってゆく。
その一方で、第76回、十路の節度が、ふたたび涼州を攻める?

梁山泊と官軍の戦いを、涼州の平定戦(韓遂馬騰と、皇甫嵩らが戦う)と、洛陽の市街戦(袁紹袁術と、蹇碩らが戦う)に割り振って、適宜、描いていく。


駒田訳の中巻が終わり、下巻になるので、ここで中断します。2015年のゴールデンウィークは、ここで中断します。また続きをやります。

高俅との3回にわたる直接対決は、『北方水滸伝』のクライマックス。
水滸百八 http://denki.art.coocan.jp/suiko/ から、このあたりのあらすじを、コピーしておきます。
76回:朝廷は童貫を総大将に10万の大軍を送り込むが、梁山泊軍も総力を挙げて迎撃、九宮八卦の陣で童貫軍を圧倒する。
77回:大打撃を受けた童貫軍は、長蛇の陣で梁山泊を攻める。これに対して梁山泊は十面埋伏の計で当たり、多くの将を失った童貫は東京に敗走する。
78回:大敗した童貫は蔡京の取りなしで許され、高俅が梁山泊討伐の総大将となる。十節度使と水軍を率いて十三万の大軍で梁山泊を攻める高俅だが十節度使は苦戦、水軍も敗れ去る。
79回:十節度使を打ち破り、高俅が徴発してきた船団もことごとく焼き払った梁山泊軍。そこに再度の招安の勅使が到着するが、高俅は勅書の文書を読み替えて罠を仕掛けようとする。
80回:罠を見抜かれた高俅の次の策は、海鰍船団の建造だった。潜入していた好漢たちに船団は撃破され、張順に捕らえられる高俅。しかし招安を望む宋江は、高俅を解放するのだった。
81回:燕青は招安工作のために東京に向かい、李師師の元で徽宗と対面、梁山泊の真意と、官軍との戦いの模様を語る。
というわけで、
76回・77回の童貫との戦いは、上に書いたように、西園八校尉をめぐった189年の蹇碩袁紹の戦いでよい。
高俅との戦いの見所は、水軍。『漢末水滸伝』では、水塞がないので、とても困る。適当に短く省略しつつ……

   ・ 後漢が、涼州軍閥を招安する振りをする
     董卓が188年に王国(人名)を討伐する
   ・ 後漢が、黒山の張燕を招安する(史実)
     本作ではこれに伴って、招安に反対する呂布が下山する
   ・ 孫堅荊州の水辺で、水軍を使って区星を討伐する

などのネタにバラして、消化したいと思う。とくに官軍の聞煥章とか、『北方水滸伝』では重要な役割だったので、活躍の場所を与えてあげたい。

 

今後の見通し

『漢末水滸伝』、だいぶ目処が立ちました。あとの四方の反乱の平定について、目安を書いておきます。
ラストを飾る方臘の乱は、張角のネットワーク(袁紹集団の最大のライバル)

北方『楊令伝』でも、大きく扱われていた。百回本のときからあるから、大きな意義を与える。おそらく黄巾の布教・組織化は、袁紹劉備と平行して行われている。だから、章をはさんで、交互に経過を描く必要がある。

皇甫嵩朱儁は、108人の員外のまま放置していたが、史実に準拠するので、本作にきちんと登場させて、黄巾を討伐させる。

百回本にもとからある、荒唐無稽な遼の討伐は、烏桓鮮卑との戦い(公孫瓚と劉虞の紛争のタネとなる)。遼と和睦するか、徹底的に潰すか、など『水滸伝』でもモメる。同じように、劉虞と公孫瓚がモメる。ただし『水滸伝』までは、全勝しない。史実に逆らうことになるから。
趙雲劉備のところに転がる伏線をはる。

百二十回本で挿入された、王慶の前半生は、洛陽にいてトラブルに巻きこまれたこともある士燮になぞらえる。『水滸伝』で語られる王慶の乱の結末は、『漢末水滸伝』がカバーする189年までには含まれない。士燮が孫呉に降伏するのは、もっとあと。最後までは描かない。

いちど、混成魔王の樊瑞を、張純と書いた。それはボツで、樊瑞は笮融にやらせる。田虎は張純である。189年までに片づくから、ちょうどいい。

百二十回本で挿入された、田虎は、張純にする。

田虎その人は、わりとザコですが。幻魔君の喬道清とか、鄔梨とその娘であるヒロイン瓊英とか、周辺の人物は大切である。
張純が暴れた地域は、幽州・并州の方面だし、、瓊英=貂蝉が、この戦いから、こぼれて出てくるという話にするかも知れない。王允は、黄巾の関係者として張譲を名指しで批判するひと。『水滸伝』で、宋江に同情的な高官(宿氏とか陳氏とか)に近づけて、絡ませてもいいかも。


整理すると、遼国・田虎・王慶・方臘は、烏桓・張純・士燮・張角となる。彼らが、袁紹集団のまるっきり外部にある人々。150506