大宋宣和遺事を読む

おかしな副将の盧俊義

◆高島俊男氏のいう盧俊義 高島俊男『水滸伝の世界』の単行本(文庫本でない)39ページ~ 盧俊義は副大将なのに、取り柄も魅力もない。『水滸伝』の読者で、盧俊義が好きという人は、まず一人もあるまい。 第六十一回から六十六回に、「盧俊義故事」がある。…

水滸伝に同居する本紀と列伝

◆好漢たちの話の寄せ集め? 水滸伝は、よく、豪傑・好漢たちの物語だといわれる。 はじめのほうだけ読んで挫折する(じつは大半の)読者は、史進・魯智深・林冲……と、主人公がつぎつぎに交替していくところだけしか読まない。だから、『水滸伝』全体のストー…

宋江が招安されて節度使となる

◆宋江が梁山泊に入る 宋江 、朱同・雷横を帯領し、李逵・戴宗・李海ら九人を並はせ、直ちに梁山泊上に奔る。かの哥哥たる晁蓋を尋ぬ。梁山泊に到る時分に及び、晁蓋 已に死せり。 又 次人の呉加亮・李進義の両人を以て、落草したる強人の首領と做す。宋江の…

宋江が36人の名簿を授かる

◆晁蓋の手紙を、閻婆惜が預かる 一日、〈晁蓋は〉宋押司の相ひ救ひたる恩義を思念し、密かに劉唐をして帯釵の一対もて、宋江に酬謝す。宋江 金釵に接し、合せず〈不覚にも〉かの娼妓たる閻婆惜に收めしむ。奈んぞ機事の密ならざる。閻婆惜 来歴を知る。 一日…

晁蓋が生辰綱を奪って梁山泊へ

◆馬県尉が、生辰綱を運ぶ 是の年、宣和二年五月、北京留守たる梁師宝 十萬貫の金珠・珍宝・奇巧の段物もて、県尉の馬安国を差はし、担奔して京師に至らしめ、六月初一日に蔡太師の上寿と為す有り。其の馬県尉 、五花営の堤上の田地に行到す。路傍を見るに、…

楊志が花石綱で、孫立を待つ

『宣和遺事』のうち、『水滸伝』に関係ありそうなところを訓読。テキストは 大宋宣和遺事 - 開放文學 からひろっています。 平凡社の中国古典文学全集を参考にしています。 ◆宦官の童貫が、大臣を兼ねる 宣和四年、春正月、梁師成に開府を加ふ。自来、内侍の…