『漢末水滸伝』を書こう

石川英輔『SF水滸伝』を読んでいて思いつきました。

水滸伝』を翻案するにあたって、北宋の話のまま書くのも、ひとつの手ですが、そればかりが方法ではない。もっと自分なりに、書きたいように書けばいいんじゃないかと。


タイトルは、『漢末水滸伝』。

二大奇書の融合です。ベースは『水滸伝』だけど、舞台は『三国演義』。人物や物語の内容は『水滸伝』だけど、舞台が漢末。北宋が腐敗するんじゃなくて、後漢が腐敗したことによって、好漢が立ち上がる。

ぼくは読みませんが、ファンタジー?RPG?に出てくる、「なんとなく中世ヨーロッパのような世界観」ってのがあると思う。町には教会があって、町外れには暗い森があって、おそろしいモンスターがいて……という。特定の地域、特定の時代という説明はないけれど、なんとなく「あの世界ね」と了解される世界。

水滸伝』は北宋の話だが、史実と違う。
水滸伝』を、「前近代の中国として、なんとなくイメージされる世界」に移しても問題はないと思う。中央に天子がいて、完了が腐敗して、邪教がはびこって、人口の大部分はまずしく、武力と心意気に富んだ人物が立ち上がり、知識人が尊敬をあつめており……という。特定の地域、特定の時代という説明はなくても、了解される世界。


南総里見八犬伝』があり、『SF水滸伝』があるなら、『漢末水滸伝』もありなんじゃないかと。

というのも、
水滸伝』の読者は、北宋末を知り尽くして読むでもない。徽宗蔡京を固有名詞として理解するでもない。それなら、『水滸伝』と同じ話を(ぼくの)なじみ深い時代に移してもいいんじゃないかと。たとえば後漢末。できたら、184年に張角が死んでから、189年に霊帝が崩じるまでのあいだ。

宋江劉備」という文学上の分析を、作品の上で実現したら嬉しいかも。
けっきょく招安を受けるのだが、招安してくれるのは、何進あたりか。後漢末の張純の乱の平定とか、劉備が官軍に加わって実行する。
もう、病関索や関勝みたいな、まどろっこしいことは辞めて、関羽さんがじぶんで暴れればいいじゃないか!

水滸伝』ファンには、新しいバージョンの『水滸伝』、『水滸伝』の語り直しを提供できる。石川英輔『SF水滸伝』に触発されて、これを思いついた。官職や人名は、漢代風に直さないと。仏教の存在感を、調節しないと。

ぎゃくに、『三国演義』ファンには、『水滸伝』を知るきっかけを。
三国ファンには、北宋や『水滸伝』の独自の世界観には取っつきにくいが、奇書として並称されるから興味がなくはない、でも手を伸ばすのは憚られる……というひとがいると思う。今月初めまでのぼくがこれに該当します。「作者が同じ羅貫中だから」コラボがあってもいいじゃないかと思います。


水滸伝』を『三国演義』の世界に翻案する。
ありそうで、意外にも前例がないんじゃないかなー。設定を詰めよう!