水滸伝訓読:99回・100回

◆第99回のこと

宋江の別働隊である盧俊義のほうで、馬霊と闘う話があり、彼も公孫勝に敗れるが、喬道清と重複するから、これは要らない。

 

第99回は、葉清が(ほんとうは田虎に叛きたい本心を堪えて)、宋軍にぶつけるのは、瓊英と張清(全羽)がいいですね、と言うくらいしか、見所がない。田虎が敗走するための、決定的な要因をつくったのは、葉清だったと。

葉清は、瓊英の両親につかえる人だったが、瓊英の親代わりとして、きっちり瓊英の志(親の仇討ち)をサポートするし、張清と結婚させてあげるし、立派なキャラです。

◆第100回のこと

上記の伏線を回収して、田虎がピンチのとき、全羽(じつは張清)が、

忽的又有一彪軍馬、從東突至。
田虎見了、仰天大嘆道、「天喪我也!」
北軍看那彪軍馬中、當先一個俊龐年少將軍、頭戴青巾績、身穿綠戰袍、手執梨花鎗、坐匹高頭雪白捲毛馬、旗號上寫的分明、乃是、「中興平南先鋒郡馬全羽」。

という登場の仕方をして、田虎を救うかと思いきや、

只見田虎馬前、忽地起陳旋風、風中現出一個女子、
大叫道、「奸賊田虎、我仇家夫婦、都被汝害了、今日走到那裏去?」
就女子身旁、又起一陣陰風、望田虎劈面滾來、那女子寂然不見。
田虎坐下馬、忽然驚躍嘶鳴、田虎落馬墮地、被張清、葉清趕上、跳下馬來、同軍士一擁上前擒住。……張清見唐昌搶來、疾忙上馬、拈一石子飛來、正中唐昌面門、撞下馬去。
張清大叫道、「我不是甚麼全羽、乃是天朝宋先鋒部下『沒羽箭』張清」

と種明かしする。

 

田虎を生け捕った瓊英は、

焦挺將田定死屍駝來、瓊英咬牙切齒、拔佩刀割了首級、把他屍骸支解。此時鄔梨老婆倪氏已死、瓊英尋了葉清妻子安氏、辭別盧俊義、同張清到襄垣、將田虎等押解到宋先鋒處。

と、田氏の縁者に仕返しをして、ぶじに母を葬った。

宋江の許可をもらって、張清と連れだって、母を埋葬する。こうして田虎の乱は、ぶじに収束しましたとさ。