第2~13回 列伝の数珠つなぎ整理

◆第二回のこと

高俅が権力を握る→王進が追い出される→史進と出会う

ここから【史進伝】

史進と王進が別れる→王進が消滅する!
史進が、少華山の朱武ら三義兄弟と出会う→史進が史家村から出る

史進が朱武とともに、少華山に籠もりました、という結末が自然。
しかし物語が終わってしまうので、しばらく史進がうろつく。

◆第三回のこと

史進魯智深に出会う(打虎将の李忠も噛むが、展開がムリやり)

ここから【魯智深伝】

魯智深が、身請金を踏み倒した鎮関西をこらしめる
魯智深が出奔する

◆第四回のこと

魯智深が五台山で出家する→五台山で暴れる

◆第五回のこと

魯智深が五代山から大相国寺をめざす
魯智深が劉太公の娘に化ける(李忠と再会し、周通と会う)
 ※周通をキャラづけする必要はなく、桃花山の某でいい

◆第六回のこと

魯智深が空腹の寺院をこらしめ、空腹の僧が首をつる

魯智深史進と再会する(史進は王進を尋ね、路銀稼ぎしてた)
魯智深史進が貧乏寺を焼き、史進は少華山へゆく
 ※史進は第三回で【魯智深伝】に移行する前に、少華山に行けばいい
  魯智深との再会は、ムリヤリだし、文学的な意義なし
  王進を尋ねて、少しくらい挿話を増やしてもよいかも?
 ★魯智深伝の終盤、ひとつ前の史進が締めくくりにくる

魯智深が大相国寺に到着し、畑を見張る

◆第七回のこと

魯智深が怪力を発揮していると、林冲が通りがかる

ここから【林冲伝】

林冲の妻は、高俅の養子・高衙内にたぶらかされた
 ※林冲の話は、魯智深と関係ないなあ。たまたま立ち会うだけ
魯智深は、林冲の妻の事件に絡まないほうが自然だ
こうして魯智深は、寺のなかで暴れました……でいい

林冲は、知人に嵌められ、帯刀のまま白虎節堂に入る

◆第八回

林冲は罰せられて、地方に護送される
林冲は道中において、高俅のさしがねで殺されそうになる

◆第九回

絶体絶命の林冲を、魯智深が助ける
林冲が、徙刑地に正しくいくように、魯智深が見守る
 ★林冲伝の終盤、ひとつ前の魯智深が締めくくりにくる

まだ【林冲伝】

林冲が柴進と出会って、おごってもらう
柴進のもとにいる洪教頭に、林冲が試合で勝つ
柴進がカネを払って、林冲の獄内生活の便宜をはかる

◆第十回

獄中の林冲に、高俅の殺害の手がせまる
林冲がなかに居るべき小屋を潰される

◆第十一回

柴進が林冲に、梁山泊に行くように勧める
朱貴が窓口になって、林冲梁山泊に入れる
王倫が林冲に、人を殺してくるのが、入城の条件という
 ※柴進は王倫と親しい人で、脇役として重要人物
柴進伝が始まることはない

◆第十二回

林冲が殺そうとしたのは、通りがかりの楊志
 ※林冲梁山泊のなかに消えていって、さようなら
  林冲が、王倫に妨げられる話まで、描いておき、列伝体は終わり
  つぎに【楊志伝】は、つながりが上手くない

ここから【楊志伝】

楊志は、花石綱の運搬に失敗して帰るところ
楊志は、高俅に失敗を咎められてうろつく
刀を売ろうとして、誤って人を殺す

楊志は、梁中書に見出されて、配下の名人と試合をする

◆第十三回

楊志が、梁中書のもとで、武芸を見せつける
楊志に負かされるのは索超だが、キャラづけは不要)

梁中書が、蔡京のために誕生日プレゼントを贈る
楊志を、護衛に選ぼうとする

楊志の視点で、プレゼントが奪われるところで、
列伝のような話は終わりになる
 ★楊志伝の最後に、林冲がちょっと顔出ししたほうが
  形式が整うなあ

第十三回の最後に、朱仝・雷横が登場する
晁蓋本紀】が始まるため、いちど列伝は後ろに退く


◆まとめ

史進が現れては、史家村から少華山に移る
魯智深が現れては、公職から五台山・大相国寺に移る
林冲が現れては、公職から梁山泊に移る
つぎに楊志が現れるが、ちょっと接続がまずい

林冲までは、うまく列伝の連鎖になっているのに……
武十回を、上手に切り出して、列伝の連鎖のあとに置けないか
楊志は、あくまで「奪われる側」の人間として、まだ詳述しない
どうせ、運搬に失敗して罪を負わされ、という話は、誕生日プレゼントのあとにあってもいい。索超と渡り合って、梁中書に認められるというくだりは、物語としてのヒネリがない。必然性がない。

王進伝(消える)、史進伝(少華山に片づく)、魯智深伝(大相国寺に片づく)、林冲梁山泊に片づく)までは、うまかった。
王倫の指示により、林冲が勝負をいどむのが、武松ということにはならないか。再編集で、そっちのほうが、構成を整合的にできないか。