水滸伝の話を三国志に置換02
◆晁蓋=袁紹とする
『三国志』に置き換えるなら、梁中書=段熲、楊志=馬騰 にしたい。
段熲は、西方で功績がある一方で、中央の宦官と結びついた。張譲にワイロを送ってもおかしくない。これは、高俅にワイロをおくった梁中書に近い。
いよいよ『水滸伝』で、晁蓋が登場するのだが、ぼくのイメージでは、晁蓋=袁紹。
袁紹のもとに、すぐれた人材がいっぱい集まって、宦官らのワイロのルートをつぶしにくる。袁紹は、霊帝の時代、反体制の集団をつくった。党錮の皆さんとも関係性をむすんだ。長身で、ひげが立派で、典型的な「大将」気質なところが、袁紹のイメージと重なる。
梁中書(段熲)が、高俅(張譲)にワイロを送るために、楊志(馬騰)を利用した。ところが、晁蓋(袁紹)ひきいる不良どもに襲われると。
ただし、これだと、晁蓋を手引きして逃がす宋江をだれにするのか、という問題が出てくる。ぼくとしては、宋江=劉備 は、揺るがしたくない。しかし劉備がこのとき、袁紹を逃がすことができる立場にいるはずがない。
もともと『宣和遺事』とか『水滸戯』の段階では、宋江が晁蓋を逃がすという話はない。晁蓋らのふるまいに、宋江は無関係。宋江は、「閻婆惜を殺して江州に徙刑になる」というところでデビューする。宋江が生辰綱にからむのは、『水滸伝』の作者が、強引にストーリーをつないだから。
というわけで、袁紹が馬騰からワイロをうばうときに、劉備が登場しなくても、べつにかまわない。
◆物語のなかの時代設定
せっかく『三国志』ものに置き換えるのだから、中央の政変を積極的に取り入れたい。どの政変を扱うかによって、物語のなかの世界をいつに設定するのか決まる。段熲が死ぬのが、西暦179年だから、それ以前となる。
開幕をかざる趙雲が、武芸に堪えられる年齢でないといけない。趙雲は生年が分からないが、西暦175年くらいに設定しておけば、史実とは矛盾しないだろう。