武十回に追加したい2人のキャラ

武十回は、武松のキャラが分裂しているといわれる。


柴田錬三郎の『水滸伝』で、武十回に相当するところを読んだ。

シバレンと原典とをちゃんと比較してないので、あくまで「シバレンを読んだあとの思いつき」として、タイトルのことを書いておきたい。

いま思うのは、武十回に、あと2人のキャラを足したら、この一連の話は、もっと厚みと整合性が出るんじゃないかということ。

 

まず、ひとりめ。

武松が兄のかたきを取るとき、裁判を利用とするのだが、これをアドバイスするひとがほしい。武松と信頼関係にむすばれ、武松(ですら)聞く耳をもつ。

兄のかたきを取ろうとする、性急な武松のふるまいは、ほかのエピソードと矛盾しない。ただ、証拠を集めるとか、証言を書きとめるとか、そういう行動が、武松らしくない。それならば、だれかがアドバイスしている、という設定でいいだろう。

じゃあ、だれか。

兄のかたきの件で、この話が「『水滸伝』らしくない」ないしは、「『水滸伝』にうまく融合していない」のは、ほかの好漢(108人のメンバー)が出てこないこと。つかず離れず、108人と関係を結びながら、話を前にすすめるのが、『水滸伝』の編者の力量であるが、それが及んでいない。

それなら、柴進のもとで知りあった、智恵のある人物 がこれに該当するだろう。

だれがいいだろう……。
できるだけ、「柴進のもとにいたことが(原典の作中で)確実」であり、かつ武松と気が合いそうで、活躍シーンが少なくて割を食っている人物。

みょうに頭がよい、孫二娘の夫である張青に、もっと活躍してもらうか……。


つぎにふたりめ。

武松が「行者」に扮するとき、孫二娘がかつてマンジュウにしてしまった、行者の衣装をつかう。体格が、武松にそっくりだったという。

この可哀想な人物は、「もうひとりの武松」に違いない。武松の人生の別バージョンを描くことで、伏線をいっぱい張ったり、武松の生きざまの特徴を浮かび上がらせたりできるはず。

「もうひとりの武松」の物語を挿入したりとか。


上記のふたりの人物を、ひとりに統合して、

 ・武松とそっくりの境遇(酒の失敗)により、柴進のところに転がりこむ

 ・武松とともに、柴進のところを出る

 ・武松は道程を強行し、ひとりでトラ退治するが、
  もうひとりは居酒屋に泊まる

 ・新しい町に移り住む
  武松はトラ退治の件で役人になるが、もうひとりは在野

 ・潘金蓮のことを嗅ぎつけるのは、在野にいるもうひとりの役目

 ・もうひとりが、武松が潘金蓮を懲らしめるのを、理知的にバックアップ

 ・行者が旅立つと、人肉マンジュウにされる
  のちに、たまたま武松も同じ店にきて、人肉マンジュウにされかかる


という感じか。
でもそうすると、「ほかの108人を登場させる」に失敗してしまうなー。

そして、もうひとりの名前、どうしよう。

まだまだ、思いつきの段階なので、この記事のなかでも、設定に矛盾があるのは、分かっております。これから練っていきます。

 ・人肉マンジュウにされて退場する、もうひとりの武松たる「行者」

 ・108人のなかに含まれる人物に、原典以上の活躍の場を持たせる

というのは、相容れないのか。そうでもないような。また考えます!