第20~35回 宋江本紀
『水滸伝』は、3つの話が並行する。
・列伝(史進・魯智深・林冲・武松)※楊志は除外
・晁蓋本紀
・宋江本紀
この記事では、宋江本紀について整理する
物語のために、人徳がありすぎて、いかにもウソっぽい宋江だけど、この花栄に限っては、ほんとうに仲が良さそう。というか、宋江をかくまうという行動を花栄がやらない限り、物語が進まない。また、宋江との関係をなくしてしまうと、花栄の行動に説明がつかなくなり、物語の本筋とも離れてしまうから、原典を尊重しよう。
あまりにも、宋江から人徳を剥がしても、仕方がないので、花栄は宋江と個人的な親友ということにする。
ぼくの案では、閻婆惜を殺して、真っ先に頼るのが、花栄のところだから。柴進のところにいくのは、『水滸伝』の編者のご都合であり、物語的な必然性がない。
◆第二十回
宋江が閻婆惜と、トラブルを抱える
※宋江がデビューするのは、閻婆惜殺し
宋江が、晁蓋・劉唐から、カネをもらう
※これすら蛇足かも知れない。つながりを強調するための
◆第二十一回
宋江が閻婆惜を殺す
◆第二十二回
宋江が手配されるが、朱仝・雷横が手心を加える
宋江は、柴進のところに逃げこむ
※柴進が宋江を慕っていたというのはウソだろな
宋江が、はんぱに晁蓋に手を貸したばかりに、居場所がなくなった
柴進のところで、宋江は武松に会う→武十回
第二十二回~第三十二回は、「武十回」だから別にやる。
◆第三十二回
武松がトラブっていると、宋江と再会する
朱仝・雷横が、閻婆惜殺しを取りはからってくれたから、柴進のところに避難している必要がなくなったと。
★武十回を終えるために、宋江を登場させた、ご都合主義
武松は、二龍山(楊志と魯智深)のところにゆく。
★これもご都合主義。行方不明でいいじゃないか
覚えるべき山塞が増えると、ちょっと疲れる。
列伝側の人物の処理に困って、『水滸伝』は二龍山を設けてる
宋江は、清風塞の花栄を頼る
★宋江は柴進のところに行かず(武松と会う場面も要らん)
閻婆惜を殺した当初から、清風塞に行けば良いのだ
清風塞には、燕順・王英・鄭天寿がいる
★宋江の名を聴いてひれ伏すとか、この話は要らん
女好きの王英と知り合い、意気投合して、一緒に逃げこむとか
◆第三十三・三十四回
官から脱した花栄が、宋江にそそのかされ、清風塞の王英と結ぶ。
秦明も破って、こちらの味方にする。
◆第三十五回
第三十五回まで、花栄とともに戦う。
宋江は、父が死んだと思って帰郷する
※梁山泊には行かない
宋江は、梁山泊の仲間を増やすため、戦わない
宋江がドロップアウトしたから、花栄らと離れた
※花栄の算入による摩擦を、晁蓋編のほうに書ける
もしくは、列伝体だけは「別冊」になるけれど、
晁蓋と宋江は、ひとつのタイムテーブルでいいかも知れない。
花栄を梁山泊に入れたことが、晁蓋と宋江の初めての本格的な設定であり、分かつことができなくなる。じゃあ、なんで宋江が外を旅してるのか、という疑問が湧いてくるけど。
ある動きは晁蓋のもの、ある動きは宋江のもの、と分けることができたらベストだ。このあたりは、宋江の片思い。梁山泊を利用して、理想を実現したいけど、、べつに晁蓋との人間関係があるわけじゃない。各地の不平勢力を撹乱して、梁山泊に送りこんで、恩を売っておこうという。
つぎに、宋江と梁山泊が接点をもつのは、宋江がつかまって、呉用が文書を偽造して、蔡京の印鑑をつくって、ミスをするとき。このときまでに、梁山泊から見ても、宋江は同志だなー、という扱いになるか。きっと、宋江を迎えようという急先鋒は、呉用さんだろう。晁蓋とでは、「国家」が作れないから、イライラしてた。
花栄を呼び込んでくれた宋江のウワサを聴いて、これは「君主」として、使い勝手がいいぞ、と思い始めている。
宋江を軽視して、かってに南方で死んでしまえ!という晁蓋らと、宋江に利用価値を見出す呉広。という暗闘を描きたいなあ!
そして、宋江を処刑場から助け出した時点で、宋江は梁山泊に入る。
花栄を呼び込んだから、宋江は、呉用に存在を認識され、やがて梁山泊に入る。晁蓋から見ると、花栄もしかり、いまいち対抗勢力のようで、おもしろくない。しかし、呉用が必死に迎えたがるから、まあいいか、と思って迎える。