2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

北宋末=資本主義の末期

◆何でもカネで買える時代 『水滸伝』の解説本を読んでいると、北宋末というのは、都市化が進み、市場が発達した時代だという。なんでもカネで買える時代だと。北宋の最後の皇帝・徽宗が、国を滅ぼした原因として、自身の風流趣味のために、大量のカネを注ぎ…

梁山泊=今日の日本企業

◆井波律子『水滸縦横談』211pより 『水滸伝』の時間について。 第一回は、嘉祐三年(1058)、洪信が魔王を解き放つ。物語は、徽宗が即布いた直後(1100)から始まる。方臘の乱は、宣和二年(1120)から翌年にかけて起こる。 108人の豪傑は、まったく老いない…

ポケモン図鑑のような水滸伝

ポケモン図鑑は、目撃すると名前が登録され、仲間にすると詳細が表示され、やがて進化する。 三国志パズル大戦は、覚醒させる。これも、まあ進化みたいなもの。 ぼくの『水滸伝』は、章末とかに、図鑑というか、獲得したカード一覧のように、登場人物を並べ…

第101回~110回 王慶の乱

◆101回のこと 瓊英が帰ってくる。公孫勝に弟子入りした喬道清、喬道清を説得した同郷の孫安、瓊英の育ての親の要請らが、朝廷で功績を認められる。公孫勝が、五龍山の塑像を修復する。喬道清の術をやぶるために、バラバラに壊してしまったから。芸の細かい後…

水滸伝訓読:99回・100回

◆第99回のこと 宋江の別働隊である盧俊義のほうで、馬霊と闘う話があり、彼も公孫勝に敗れるが、喬道清と重複するから、これは要らない。 第99回は、葉清が(ほんとうは田虎に叛きたい本心を堪えて)、宋軍にぶつけるのは、瓊英と張清(全羽)がいいですね、…

水滸伝訓読:第98回

◆瓊英の来歴 瓊英の母は宋氏。瓊英の祖父(宋氏の父)が死んだので、瓊英の両親は、喪に駆けつけた。十歳の瓊英は、主管(番頭)の葉清に預けられた。しかし旅先で、瓊英の両親が死んだ。のちに田虎が乱を起こすと、国舅の鄔梨は、威勝を占領して略奪し、そ…

水滸伝訓読:第97回

◆盧俊義が、田虎軍の孫安を降す 戴宗からの伝言で、別軍の盧俊義が、田虎を降したことが説明される。孫安は、このたびの降将のなかで、けっこう有力な人物なのに、伝言で語られるのだから、盛り上がりに欠ける。孫安は、「喬道清は同郷なので、私が説得して…

水滸伝訓読:第96回

◆公孫勝が、喬道清をやぶる 宋陣の内に喬道清の妖術を破る先生は、正に入雲龍の公孫勝なり。他 衛州に在り、宋先鋒の將令に接し、即ち王英・張清・解珍・解寶とともに、星夜 軍前に趕到す。寨に入り、宋先鋒に參見す。恰かも喬道清の妖法を逞弄し、樊瑞を戰…

水滸伝訓読:第95回

◆宋江が、喬道清の妖術に敗れる 〈李逵らは、喬道清に捕らえられた。宋江は、李逵が殺されたことを心配しつつ、喬道清に挑む。喬道清は、城門を開け、吊り橋を降ろして、余裕をかまして宋軍を迎える〉 宋先鋒 怒氣は胸に填ち、喬道清を指して罵る、「逆を助…

水滸伝訓読:第94回

◆李逵の夢どおりの山がある 〈宋江が進軍すると、2城が降る〉 盧俊義 道ふ、「兄長の威を賴り、両處 戰はずして服す。既に嚴令を奉ずれば、敢て心を盡し力を彈〈つく〉さざらんや」宋江 又 前日に蕭讓をして許貫忠が圖畫を照依して、別に寫して一軸を成せし…

水滸伝訓読:第93回

第九十二回には、見るべきものがない。花栄の弓とか、すでにキャラを立て終わっている武将が、腕前を見せるだけ。計略によって城を落としたりするけど、そういうのが読みたければ、『三国演義』を読めばいいわけで。ひとつ飛ばして、第九十三回にゆく。 ◆正…

水滸伝訓読:第91回

〈戴宗は、河北の田虎の反乱を聞く。宋江は、田虎の討伐を願い出た。田虎は猟師に過ぎないが、宋の地方軍の腐敗につけこみ、五州五十六県を占領して、「晋王」を称した。宋江と盧俊義が、天子から任命され、討伐にゆく〉 ◆燕青が、許貫忠の巻物をひらく 宋江…

水滸伝訓読:第90回(2/2)

百二十回本が挿入した、田虎の討伐戦から、退屈な部分(類型的な戦闘の描写)を除く。この書き下し文だけを読んでも、楽しめるように、情報を整形してます。百回本と、ここを読めば、エッセンスが分かるように。タイトルが、2/2から始まってますが、1/2は別…

水滸伝訓読:第2回(4/7)

◆王進が史進を打ちすえる 後生 看て、棒を拿りて、滾將入來〈くるくると速く進み〉、逕ちに王進に奔る。王進 托地に棒を拖〈ひ〉きて、便ち走る。後生 棒又を輪して趕〈お〉ふ。王進 身を回し、棒を把りて空地を望み、臂將下來〈真向かいより打ち下ろす〉。…

水滸伝訓読:第2回(3/7)

◆王進が逃げる 日は晚るるとも未だ昏からず、王進 先づ張牌を叫びて入らしめ、分付して道ふ、「你 先づ晚飯を喫せよ。我 你をして一處に去きて幹事せしめん」張牌道ふ、「教頭 小人〈私〉をして、いづくに去かしむ?」王進道ふ、「我 前日の病患に因りて、酸…

水滸伝訓読:第2回(2/7)

◆高俅が蹴鞠で、端王と知りあう 次日、小王都太尉 玉龍の筆架を取り出し、両個の鎮紙玉の獅子とともに、一個の小金盒子に盛りて、黄羅の包袱もて包み、一封の書呈を寫し、高俅をして送らしむ。高俅 王都尉の鈞旨を領し、両般の玉玩器もて、懷中に書呈を揣し…

水滸伝訓読:第2回(1/7)

◆封印の由来がわかる 住持真人 洪太尉に説く、「太尉 知らず、此の殿の中、祖老天師の洞玄真人 法符を傳下し、囑付して道ふ、『此の殿の内に、鎮鎖するは、三十六員の天罡星、七十二座の地煞星なり。共に一百八の魔君、裏面に在り。上に石碑を立て、龍章・鳳…

水滸伝訓読:第1回(3/3)

◆太尉が伏魔之殿に、興味をもつ 次日、早膳の以後、真人・道衆、並びに提點・執事の人ら、太尉に請ひて游山せしむ。太尉 大いに喜ぶ。許多の人從 隨ひ、歩行して方丈を出づ、前面の両個の道童 路を引き、行きて宮前・宮後に至り、許多の景緻を看玩す。三清殿…

水滸伝訓読:第1回(2/3)

◆童子と遭遇して、引き返す 再び銀提爐を拿し、身上の詔敕、並びに衣服・巾幘を整頓し、再び山に上らんと待〈ほっ〉す。只だ聽く、松樹の背後に、隱隱地〈ほのかに〉笛聲 吹き響きて、漸漸に近づくるを。太尉 晴〈ひとみ〉を定めて看る時、只だ見る、かの一…

水滸伝訓読:第110回(5/5)

◆宿太尉が宋江を、方臘討伐に推薦 宿太尉 次日の早朝 入內す。天子 披香殿に在りて百官文武と事を計するを見る。正に説く、「江南の方臘 耗〈乱〉を作し、八州二十五県を佔據し、年を改め號を建つ。此の如く反を作し、自ら霸となりて尊を稱す。今 早晩に兵 …

水滸伝訓読:第110回(4/5)

◆燕青の入城に、李逵がついてくる 宋江・諸將、此より後、無事、また入城せず。上元節に至る。東京の年例、大いに燈火を張り、元宵を慶賞す。諸路 盡く燈火を做し、各衙門に於いて點放す。宋江の營內の「浪子」燕青、自ら樂和と商議す、「今 東京 花燈・火戲…

水滸伝訓読:第110回(3/5)

第110回(1/5)、第110回(2/5)は、百二十回本のオリジナル?ストーリーなので、また後日やります。百回本に復帰するところに接続しそうな、第110回の中盤からやります。方臘の話が、宋江たちの耳に入ります。公孫勝が去って、万能の魔術師を欠いたため、梁山泊…

水滸伝訓読:第1回(1/3)

幸田露伴の訓読を見ながら、維基文庫の『水滸伝』百二十回本を訓読。しかし、幸田露伴を丸写ししても仕方がないから、自分が読みやすいように、句読点の位置をかえたり、訓読の仕方を変えたりする。また、難解な語彙で、幸田露伴が言い換えを提示しているも…

『水滸伝』のテーマ設定

いろんな解説本を読んでいる段階で、まだきちんと通読してないんですが、いまイメージする、『水滸伝』のだいたいの骨格を書いておきます。こういう、疎いときのほうが、かえって「よくわかる」こともある気がする。 『水滸伝』は、ひとつの勢力の盛衰(生ま…

ページ数の皮算用

タイトルは、「いつか書きたい」と銘打っていますが、おそらく、2015年のうちに書き終えます。というか、あくまで文章修行なのだから、駆け抜けるように書き終わらないと、じぶんが飽きてしまう。興味の中心は、やはり『三国志』なので。 印刷レイアウトを決…

『水滸伝』を語り直したい

はじめ、馬超の話を考えた 『水滸伝』は、はじめから「書きたい」とまでは、思わなかった。馬超の話にひきつけて、同人誌用に、原稿用紙500枚くらいの話を書こうと思ったのが、始まりでした。 『水滸伝』がもってる物語のおもしろさを(レヴィストロースの神…

『水滸伝』はじめます

ほったん 2015年1月末の三国志フェスで、三国志に関する同人誌、『曹丕八十歳』を販売しました。そのとき、「水滸伝は、やらないんですか?」と聞かれました。 そういえば、三国志の勉強会をしたときも、水滸伝が好きなひとが、集まっていたような気がする。…