第47~50回 祝家荘を滅ぼす

祝家荘の戦いは、読者を挫折させるハードル。心して、退屈にならないように、話をしのぎたい。まず、孫立(病尉遅)が連れてくる人名の数を減らすことが必要。のみならず、ストーリーの順序の整理が大切。 宋江は、祝家荘と対立関係にある石秀が、梁山泊に転…

第44~47回 石秀列伝(付 病関索)

戴宗が薊州に、公孫勝を迎えにいくとき、たまたま石秀・楊雄(病関索)に知り合う。ここから、晁蓋・宋江がしばらく出てこない。列伝に入ったのだと知らずに読むと、イライラするので、これは切り出そう。「武十回」以来の、分岐です。時系列としては、戴宗…

第41~44回 梁山泊の体制が整う

◆第四十一回 第四十回で「小聚義」をした晁蓋らは、江州を攻撃する。穆氏の援助を受けながら、蔡九に向けて宋江の謀反を告発した人(無為軍の黄文炳)を懲らしめる。張順・李俊の水軍が活躍する。宋江と晁蓋が、隣の家に放火して、「隣の家が火事です」とい…

第35~40回 宋江が江州を巡る

◆第三十五回 石勇(キャラづけ不要)が、宋清の伝言を宋江に届ける花栄・秦明は、宋江の提案で梁山泊にゆく宋江の紹介状では利かない。宋江の人柄を褒めても仮の同意晁蓋が花栄の弓の腕前を試すように、あくまで晁蓋の判断 宋江は閻婆惜を殺して(他のどこに…

第20~35回 宋江本紀

『水滸伝』は、3つの話が並行する。 ・列伝(史進・魯智深・林冲・武松)※楊志は除外 ・晁蓋本紀 ・宋江本紀この記事では、宋江本紀について整理する 物語のために、人徳がありすぎて、いかにもウソっぽい宋江だけど、この花栄に限っては、ほんとうに仲が良…

第14~20回 晁蓋本紀

【晁蓋本紀】が、どこまで続くか、話の内容を検証する。当然ながら、宋江との絡みも出てくる。きっと、途中で「武十回」に分岐して、また時間軸が狂うのだろう。 ◆第十四回 朱仝と雷横が、劉唐を捕らえてくる晁蓋は、「彼は私のおい」と詐って、劉唐を助けて…

第2~13回 列伝の数珠つなぎ整理

◆第二回のこと 高俅が権力を握る→王進が追い出される→史進と出会う ここから【史進伝】 史進と王進が別れる→王進が消滅する!史進が、少華山の朱武ら三義兄弟と出会う→史進が史家村から出る 史進が朱武とともに、少華山に籠もりました、という結末が自然。し…

北宋末=資本主義の末期

◆何でもカネで買える時代 『水滸伝』の解説本を読んでいると、北宋末というのは、都市化が進み、市場が発達した時代だという。なんでもカネで買える時代だと。北宋の最後の皇帝・徽宗が、国を滅ぼした原因として、自身の風流趣味のために、大量のカネを注ぎ…

梁山泊=今日の日本企業

◆井波律子『水滸縦横談』211pより 『水滸伝』の時間について。 第一回は、嘉祐三年(1058)、洪信が魔王を解き放つ。物語は、徽宗が即布いた直後(1100)から始まる。方臘の乱は、宣和二年(1120)から翌年にかけて起こる。 108人の豪傑は、まったく老いない…

ポケモン図鑑のような水滸伝

ポケモン図鑑は、目撃すると名前が登録され、仲間にすると詳細が表示され、やがて進化する。 三国志パズル大戦は、覚醒させる。これも、まあ進化みたいなもの。 ぼくの『水滸伝』は、章末とかに、図鑑というか、獲得したカード一覧のように、登場人物を並べ…

第101回~110回 王慶の乱

◆101回のこと 瓊英が帰ってくる。公孫勝に弟子入りした喬道清、喬道清を説得した同郷の孫安、瓊英の育ての親の要請らが、朝廷で功績を認められる。公孫勝が、五龍山の塑像を修復する。喬道清の術をやぶるために、バラバラに壊してしまったから。芸の細かい後…

水滸伝訓読:99回・100回

◆第99回のこと 宋江の別働隊である盧俊義のほうで、馬霊と闘う話があり、彼も公孫勝に敗れるが、喬道清と重複するから、これは要らない。 第99回は、葉清が(ほんとうは田虎に叛きたい本心を堪えて)、宋軍にぶつけるのは、瓊英と張清(全羽)がいいですね、…

水滸伝訓読:第98回

◆瓊英の来歴 瓊英の母は宋氏。瓊英の祖父(宋氏の父)が死んだので、瓊英の両親は、喪に駆けつけた。十歳の瓊英は、主管(番頭)の葉清に預けられた。しかし旅先で、瓊英の両親が死んだ。のちに田虎が乱を起こすと、国舅の鄔梨は、威勝を占領して略奪し、そ…

水滸伝訓読:第97回

◆盧俊義が、田虎軍の孫安を降す 戴宗からの伝言で、別軍の盧俊義が、田虎を降したことが説明される。孫安は、このたびの降将のなかで、けっこう有力な人物なのに、伝言で語られるのだから、盛り上がりに欠ける。孫安は、「喬道清は同郷なので、私が説得して…

水滸伝訓読:第96回

◆公孫勝が、喬道清をやぶる 宋陣の内に喬道清の妖術を破る先生は、正に入雲龍の公孫勝なり。他 衛州に在り、宋先鋒の將令に接し、即ち王英・張清・解珍・解寶とともに、星夜 軍前に趕到す。寨に入り、宋先鋒に參見す。恰かも喬道清の妖法を逞弄し、樊瑞を戰…

水滸伝訓読:第95回

◆宋江が、喬道清の妖術に敗れる 〈李逵らは、喬道清に捕らえられた。宋江は、李逵が殺されたことを心配しつつ、喬道清に挑む。喬道清は、城門を開け、吊り橋を降ろして、余裕をかまして宋軍を迎える〉 宋先鋒 怒氣は胸に填ち、喬道清を指して罵る、「逆を助…

水滸伝訓読:第94回

◆李逵の夢どおりの山がある 〈宋江が進軍すると、2城が降る〉 盧俊義 道ふ、「兄長の威を賴り、両處 戰はずして服す。既に嚴令を奉ずれば、敢て心を盡し力を彈〈つく〉さざらんや」宋江 又 前日に蕭讓をして許貫忠が圖畫を照依して、別に寫して一軸を成せし…

水滸伝訓読:第93回

第九十二回には、見るべきものがない。花栄の弓とか、すでにキャラを立て終わっている武将が、腕前を見せるだけ。計略によって城を落としたりするけど、そういうのが読みたければ、『三国演義』を読めばいいわけで。ひとつ飛ばして、第九十三回にゆく。 ◆正…

水滸伝訓読:第91回

〈戴宗は、河北の田虎の反乱を聞く。宋江は、田虎の討伐を願い出た。田虎は猟師に過ぎないが、宋の地方軍の腐敗につけこみ、五州五十六県を占領して、「晋王」を称した。宋江と盧俊義が、天子から任命され、討伐にゆく〉 ◆燕青が、許貫忠の巻物をひらく 宋江…

水滸伝訓読:第90回(2/2)

百二十回本が挿入した、田虎の討伐戦から、退屈な部分(類型的な戦闘の描写)を除く。この書き下し文だけを読んでも、楽しめるように、情報を整形してます。百回本と、ここを読めば、エッセンスが分かるように。タイトルが、2/2から始まってますが、1/2は別…

水滸伝訓読:第2回(4/7)

◆王進が史進を打ちすえる 後生 看て、棒を拿りて、滾將入來〈くるくると速く進み〉、逕ちに王進に奔る。王進 托地に棒を拖〈ひ〉きて、便ち走る。後生 棒又を輪して趕〈お〉ふ。王進 身を回し、棒を把りて空地を望み、臂將下來〈真向かいより打ち下ろす〉。…

水滸伝訓読:第2回(3/7)

◆王進が逃げる 日は晚るるとも未だ昏からず、王進 先づ張牌を叫びて入らしめ、分付して道ふ、「你 先づ晚飯を喫せよ。我 你をして一處に去きて幹事せしめん」張牌道ふ、「教頭 小人〈私〉をして、いづくに去かしむ?」王進道ふ、「我 前日の病患に因りて、酸…

水滸伝訓読:第2回(2/7)

◆高俅が蹴鞠で、端王と知りあう 次日、小王都太尉 玉龍の筆架を取り出し、両個の鎮紙玉の獅子とともに、一個の小金盒子に盛りて、黄羅の包袱もて包み、一封の書呈を寫し、高俅をして送らしむ。高俅 王都尉の鈞旨を領し、両般の玉玩器もて、懷中に書呈を揣し…

水滸伝訓読:第2回(1/7)

◆封印の由来がわかる 住持真人 洪太尉に説く、「太尉 知らず、此の殿の中、祖老天師の洞玄真人 法符を傳下し、囑付して道ふ、『此の殿の内に、鎮鎖するは、三十六員の天罡星、七十二座の地煞星なり。共に一百八の魔君、裏面に在り。上に石碑を立て、龍章・鳳…

水滸伝訓読:第1回(3/3)

◆太尉が伏魔之殿に、興味をもつ 次日、早膳の以後、真人・道衆、並びに提點・執事の人ら、太尉に請ひて游山せしむ。太尉 大いに喜ぶ。許多の人從 隨ひ、歩行して方丈を出づ、前面の両個の道童 路を引き、行きて宮前・宮後に至り、許多の景緻を看玩す。三清殿…

水滸伝訓読:第1回(2/3)

◆童子と遭遇して、引き返す 再び銀提爐を拿し、身上の詔敕、並びに衣服・巾幘を整頓し、再び山に上らんと待〈ほっ〉す。只だ聽く、松樹の背後に、隱隱地〈ほのかに〉笛聲 吹き響きて、漸漸に近づくるを。太尉 晴〈ひとみ〉を定めて看る時、只だ見る、かの一…

水滸伝訓読:第110回(5/5)

◆宿太尉が宋江を、方臘討伐に推薦 宿太尉 次日の早朝 入內す。天子 披香殿に在りて百官文武と事を計するを見る。正に説く、「江南の方臘 耗〈乱〉を作し、八州二十五県を佔據し、年を改め號を建つ。此の如く反を作し、自ら霸となりて尊を稱す。今 早晩に兵 …

水滸伝訓読:第110回(4/5)

◆燕青の入城に、李逵がついてくる 宋江・諸將、此より後、無事、また入城せず。上元節に至る。東京の年例、大いに燈火を張り、元宵を慶賞す。諸路 盡く燈火を做し、各衙門に於いて點放す。宋江の營內の「浪子」燕青、自ら樂和と商議す、「今 東京 花燈・火戲…

水滸伝訓読:第110回(3/5)

第110回(1/5)、第110回(2/5)は、百二十回本のオリジナル?ストーリーなので、また後日やります。百回本に復帰するところに接続しそうな、第110回の中盤からやります。方臘の話が、宋江たちの耳に入ります。公孫勝が去って、万能の魔術師を欠いたため、梁山泊…

水滸伝訓読:第1回(1/3)

幸田露伴の訓読を見ながら、維基文庫の『水滸伝』百二十回本を訓読。しかし、幸田露伴を丸写ししても仕方がないから、自分が読みやすいように、句読点の位置をかえたり、訓読の仕方を変えたりする。また、難解な語彙で、幸田露伴が言い換えを提示しているも…